2025年3月18日、成山堂書店より、主に本学会会員である著者による専門テキスト『越境大気汚染の物理と化学(3訂版)』が刊行されました。
本書は、1990年代の酸性雨問題を起点に、東アジアを中心とした大気汚染物質の長距離輸送メカニズムを、物理・化学・観測・モデル計算の視点から体系的に解説する待望の基礎テキストです。3訂版では、初版(2014年)から2訂版(2021年)までの研究成果をふまえた最新データの更新や、マイクロプラスチックをはじめとする新たなエアロゾル情報の追加、図表・コラムの再構成を行い、環境大気科学の学習・教育に最適な構成となっています。
主な特徴
- 酸性雨からPM2.5・オゾン・エアロゾル・黄砂・放射性物質まで、多様な汚染物質の広域輸送を網羅
- 物理(気象構造・拡散・沈着)と化学(気相反応・粒子化学・雲・雨水中化学)の両輪で解説
- 観測手法とシミュレーションモデル(トラジェクトリー型/オイラー型)の実践的解説
- “コラム”でフィールド事例や最新トピック(COVID-19大気影響、マイクロプラスチックなど)を随所に掲載
- 物理化学の基礎定数・SI接頭語・大気基準値などをまとめた充実の付録
「越境大気汚染」は、他国で排出された汚染物質が国境を越えて輸送される現象を指し、2013年のPM2.5問題以来、日本でも広く認知されています。本書は、国際協力や各国の排出源対策による大気汚染対策の進展を踏まえつつ、環境教育用テキストとして最適化されました。
著者:藤田慎一・三浦和彦・大河内博・速水洋・松田和秀・櫻井達也

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Title: “The Physics and Chemistry of Transboundary Air Pollution (3rd Edition)”
Published on March 18, 2025 by Seizandō Shoten
Authors: Shinichi Fujita, Kazuhiko Miura, Hiroshi Ōkochi, Hiroshi Hayami, Kazuhide Matsuda, Tatsuya Sakurai
ISBN: 978-4-425-51364-2 /